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闇の中が好き それは私でなくて良い場所 故に私は宵闇を行く 輪郭の無い淀みを裂いて 靴音が響く だけどそれは 空虚に満たされている証だから 何も聞こえないふりをしよう 誰もが空耳だと思うように 私には聞こえない 聞こえてはいるけれど 認められることの無いその音は 無いに等しい ネオンの色彩が 時に私の目を射る あまりにも眩しいその光は 私には要らない 傷だらけの体が 醜い心が 少しずつ照らし出されていくのを 一体誰が心地良いと思う? 「危ない子」で結構 私を照らさないで 光は 歩いていくのに要るだけでいい 朧気な世界なら 生きていける気がした 嫌なものを隠して隠して隠して 闇に溶け込ませていれば 私は楽に息が出来る そんな気がした でもきっとそれでいい 無意識の諦観で織り上げたコートを 緩く肩に引っ掛けて 闇に融けてしまいたいのに 足早に往く私の肩は いとも簡単にそれを退けていく 過ぎ行く人が 私に投げて寄越す一瞥 何気なく目を伏せて 飛来する刃 一筋の血痕を浮かび上がらせる 落ちる滴が頬を撫で 逃げられないよと嘯いた 光と正義と闇と悪 そんなもの知らない、ありえない 私が欲しいのは黒だけ 己を隠すのにいるだけ 輪郭を少しばかりぼかすため 余計なものは捨てていく 何もかも 黒で塗りつぶして あったことはなかったことに なかったことはあったことに そして黒だけが残る 闇を纏う 闇と人の狭間 君が闇にならないように 私はその狭間を埋める 私という名の黒で埋める 寄り添って貴方を守る そんなものはただの幻想でしかなくて 結局私はたった一人夜闇を切る 靴音がひとつ鳴り響く夜 私を覆う黒 きっと同じ黒が 世界のあちこちでひっそりと息づいている 黒の中に生きる人々 その輪郭は 誰かが覚えていてくれるのでしょうか 忘れ去られて行く人々 誰にも気付かれないまま ゆっくりと死んでいく人々 その存在は 誰かが覚えていてくれるのでしょうか 闇に生まれて闇を裂いて 闇を歩んで闇に溶ける 抱えた空虚を靴音に響かせて 聞こえないふりをして ねぇ それは楽しいですか ねぇ それは本当に楽ですか 傷だらけの心が 醜い本性が 少しずつ暴き出されていくのを 一体誰が心地良いと思う? 「気味の悪い子」で結構 私を晒さないで 私を見ないで こんなにも こんなにも醜く歪んだ私で その目を曇らせないで 世界のあらゆる光が 時に私の胸を射る あまりにも眩しいその白は 私にはただの毒 身を蝕み心を蹂躙していく だけどそれは この世界を愛している証だから 何も知らないふりをしよう 何も気付かないふりをしよう 誰もが錯覚だと思うように 誰も気付くことの無いように この世の半分を覆う光が 翳ることの無いように 私には見えない 全部分かってはいるけれど 知られることの無いその音は その声は その嘆きはその叫びは その存在は、きっと無いに等しい だから、黒の中が好き それは私が私ではなくなる場所 濃灰の霧のたゆたう 曖昧模糊な概念の集積体 故に私は漆黒を行く 感情の無い絶望を裂いて 声の無い空虚を裂いて 己の存在も君の記憶も全部全部引き裂いて 靴音が響く PR |
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