忘れましょう。
貴方のことなど忘れてしまいましょう。
貴方が忘れてくれと言ったから。
愛したりしないでくれと言ったから。
あの蒲公英の綿毛に全てを乗せましょう。
愛情も、苦悩も、喜びも哀しみも全て。
貴方への特別なもの全てを乗せましょう。
そうしたら綿毛は、至る所に散り行くでしょう。
私の知らない何処か遠くへ。
私の捨て去った貴方への思いを乗せて。
そうすれば私は、もはや思い出さずにいられるのです。
私は二度とそれを手にしないのです。
貴方は私を思って煩うことがなくなるでしょう。
私は貴方を思っても胸ときめかせなくなるでしょう。
しかしそれで良いのです。
貴方が望んでいるというのならば。
それで貴方が幸せになれるというのならば。
その結果貴方が笑っていられるのならば。
貴方の笑顔さえあれば私は笑えるのですから。
今こそ全てを捨ててしまいましょう。
貴方の笑顔の為に。
これからの自分の笑顔の為に。

私は蒲公英の綿毛を、そっと風に流しました。

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