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私は捨てられた鳥でした
かごのなかに閉じ込められて 世界は見えていました その柵の隙間から 朝露に煌めく草木も 夜闇を駆けていく生き物たちも だけど私は触れられません だって 手も腕も無いのです 壊れた翼は震えるだけで ちっとも役には立たなくて この凍えた体を暖めるのにさえ ボロボロの羽根じゃ足りなくて この世界が満たされたことは 一度もなくて 恐らくこれからも 一度もなくて あと幾度 この凍てつく夜を越えたら 私はここから出られるのでしょう? そんな世界に、貴方は 大きな目を、私に向けて 何も言わなかったけれど 籠を開けて 小さな私をそっと手に乗せて そのまま ぎこちなく包み込んでくれたのでした 真っ暗でした 貴方の手の中は だけど だけどそこは あまりにも暖かくて その手は あまりにも柔らかくて この世界は 満たされておりました 貴方の温もりで 貴方の優しさで 強くて柔らかな貴方の命で 溢れておりました 何となくわかっていました 貴方がもう来ないということ もう一度来てなどとは 言いませんでしたが どうして どうして今 どうしてこんなに寒いのでしょう ねぇ 私なんかに時間を使うのは あまりにも無駄ですが どれだけ温もりに満たされようと 壊れた翼は治りませんが それでも この身が貴方に満たされることを、許してくださいますか? PR |
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